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母校で職業座談会講師〜その4

【読了の目安 : 6 分】

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大学時代のお話をしました。学習方法やアルバイト、海外留学体験、進路決定から転職、独立まで。

*黒板は質問に対する学生の答え。地頭と筋の良さを感じさせます。

つづき。

 

大学時代のこと

千葉大学工学部に進学し、建築学科で建築設計や都市計画を学びました。学業の他、アルバイトやプライベートの活動にも熱心に取り組みました。大学卒業後、1年間の海外留学をし、帰国後大学院で研究活動をしました。大学院卒業後、畑違いのレストランに就職。その後、コンサルティング会社に転職し、シェフからコンサルタントになり、5年間のサラリーマン修行の後独立。経営コンサルティング会社を設立し社長になりました。

1. 学習方法

高校時代同様、限られた時間を有効活用するため、「選択と集中」しました。後からいくらでも勉強できる一般教養は最低限に、今後差がつく専門分野に集中的に時間を投じました。具体的には、4年間で10個前後やることになる設計課題を、一般公募の設計競技(コンペ)に応募したり、先輩の課題を手伝ったり、建築事務所のアルバイトでリアルプロジェクトに関わるなど3倍の30個以上こなしました。人の3倍を目標にやりましたし、アルバイト費用の3分の1は自己啓発や勉強など自己投資にあてることにしました。こうして4年間で約300万円、本は2000冊以上買って読破しました。速読法は身につけておりませんでしたが、読書数100冊を超えた辺りから、読むスピード(頭のなかで音読するスピード)が加速するのを感じました。

2. 海外留学

上述の独自体験と戦略的時間投資術・自己投資術が奏功してか、当時文部科学省が主導で立ち上げた国家間交換留学プログラムに日本代表の1人として選抜され、数ヶ月ずつのごく短い期間ですが、ヨーロッパに留学させてもらえる機会に恵まれました。

私は、ドイツとポルトガルという、ゲルマン民族とラテン民族のまったく対極な雰囲気を持つ国に留学することができ、非常に勉強になりました。特に、ドイツでの自己の内面にどんどん沈降して思索を巡らせる特殊体験は、なるほど、世に名だたる哲学者を輩出する国柄だけあると妙に合点が行ったものです。

「なにやってるの?」

多分意訳するとそういう日常会話的なコミュニケーションだったのかもしれませんが、直訳すれば「君、なにができるの?」という本質をグサッとえぐる質問には、日本で何重にも着込んでいた学歴や見栄、誇りなどを一瞬にして丸裸にする力があり、圧倒されたものです。

しかしながら、この経験により、自分には勉強以外に「建築」、「音楽」、「料理」という3つもの強みを発見することができ、これらを組み合わせることで独自性ある道をいくらでも作っていけると、真冬のドイツの一面に広がる雪景色の中に幾筋ものキャリアを思い描き、胸を踊らせました。

3. アルバイト

レストランアルバイトはまかないが出るので食費を抑えるために最適だと思い、引っ越して早々、入学するより先に面接をして始めました。特に料理が得意だったわけではありません。包丁の使い方を一から教わり、丁稚奉公から始めたのです。

しかしながら、生来の凝り性から、仕事にのめり込み、また、創造性や芸術性、そして調和という面で、建築と料理、そして音楽との共通点を発見し、のめり込んでいきます。

このレストランのアルバイトを主軸にして、お金を稼ぐためだけの仕事や、スキルを磨くための仕事など、実にたくさんの職種業種を経験しました。これらの独自体験も将来の進路決定の材料になったことは言うまでもありません。

4. 就職

それまで建築学科に進んだら建築系の仕事につく、という既定路線しか思い浮かばなかったのが、海外留学を経験したことで、色々道があることを知ったので、私の関心は今まで習得してきた知識や知恵、ノウハウや技術をいかに組み合わせて独自のまちづくりを実現するかに移っていました。

ちょうどその頃、アルバイトしていたレストランで、オーナーが引退するので後を引き継がないかとのお話を頂きました。料理もサービスもできましたが経営はさっぱりでしたし、オーナー夫妻についている常連のお客様が代替わりすると離れてしまうと思い、そのお話はお断りし、繁盛店のまま惜しまれつつ閉店することになったのです。

レストランが閉店して2週間後、たまたまもと店のあった場所を自転車で通りかかると、目を疑う光景を見ることになります。店の前の電信柱には「痴漢ひったくり注意!」の貼り紙が貼られ、店前の道路にはゴミが散乱し、キレイに手入れされていた植栽は荒れ放題でした。

「町が死んだ」

けして大袈裟ではなくそう感じました。同時に、たった一軒の繁盛店が周辺地域にもたらす影響力の大きさも実感しました。次の瞬間、

「これだ!」

突如として降ってきたインスピレーションにより、ついさっきまで感じていた冷たく悲しい感覚はどこかへ消え去り、身体の奥底から熱いものがこみ上げてくるのを感じました。

自分独自の、自分にしかできないまちづくりのあり方を見つけた瞬間でした。

それまで都市計画や行政によるマスタープランなど、上からのアプローチに感じていた違和感の正体が分かりました。私がやりたかったまちづくりは、地域に密着し、地域の人々と密接に関わっている商店や小さな地場産業を盛りたてることだと気づきました。それは、中学校1年生のときに胸にいだいた、「あの商店街にもう一度活気を」という始源の思いとリンクしました。

あるべき姿が定まれば、とるべき行動は自ずと決まります。もっと店舗ビジネスを勉強しなければならない、レストラン経営を本格的に学ぼう!そうと決まれば限られた時間でどこで勉強したら一番よいか探すことになりました。

30歳で独立することを考えていましたので、留学と大学院で25歳で社会に出ることになった私に残された期限は5年でした。そこで、前半2年をレストラン経営の勉強に、後半3年を店舗支援の勉強に当てようと考えました。

2年でレストラン経営の大筋を勉強するには、並大抵のことでは不可能です。そこで、当時もっとも厳しいと言われていた完全実力主義の外食企業へ就職を決めました。

閉店したレストランの前を通りかかってからわずか2週間後のことでした。

5. 転職と独立

レストラン経営を勉強しながら、シャッター街化した商店街に活気を取り戻す方策を模索していた時、空きテナントをいかに有効活用するか考えていました。すると、ちょうどそのタイミングで閉店したお店をそのまま「居抜き」で活用するビジネスの立ち上げ話をもらい、次の転職先が決まりました。

現場経験者という独自経験が評価され、全国の営業不振店舗や訳あって撤退する店舗の閉店相談を、一手に引き受ける相談窓口業務を担当しました。そこで毎日20件から30件の閉店相談をインターネットや電話で受け、5年間で約2万件の経営相談を受けてきました。

当初、3年で辞めて独立するつもりでしたが、リーマンショックと東日本大震災により2年延期になったものの、2012年、無事に独立を果たすことになります。

つづき → 社会人として求められることと後輩たちへのメッセージ

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